原油価格がマイナス⁉️これを機に、先物取引を覚えよう。
- 2020.04.22
- FXで稼ぐ

どうもKSKです!
先日起こった衝撃の「原油価格がマイナス」という現象について、
・そもそも先物とは何で
・どういう仕組みでこうなったのか
を書いておきたいと思います。
先日の原油で起きた現象を例に、先物取引を覚えてしまいましょう。
※先物取引に重点をおいて書きますので、先日の原油先物5月限で起きた現象の正体を知りたいという方は、目次から「原油先物5月限」に飛びましょう。さらっとしか触れていませんが。笑
そもそも先物とは?
商品先物取引というのは、
先の未来(将来)に受け渡しすることを前提に、ある物の価格と数量をいま決めてしまう取引のこと。
普段僕らがコンビニで物を買う時や、株を現物で買う時は、
その時点で買い手はお金を払い、その時点で売り手は物を渡します。
これは現物取引。
反対に先物取引は、
商品の代金だけを前もって決めて、その支払いと商品の受け渡しは未来の一定の期日に行うという取引。
例えば、今日、金100g=100万円だとすると、
「金500gを、8月20日に500万円で買いたい」
という西山くんがいて、
「じゃあ俺は8月20日に500万円で金500g売るよ」
という小幡くんがいると、先物の取引が成立します。
この場合、8月20日の金価格が100g=200万円だとすると、本来1000万円かかる500gを500万円で買える西山くんは、得します。
ということは、西山くんは最初から、「将来の価格は上がるから、今のうちに買っておこう」という思惑があったわけです。
こうなってくると、普段参加している相場と同じですね。
で、実際に8月20日に金、代金の支払いが起こると、これは受け渡し決済という決済で、取引終了です。
逆に、8月20日になる前に小幡くんが、
「あれ?これ価格上がりそうだから今売ると損しないか?」と気づいて、100g=120万円の時に、売った先物を買い戻したとします。
この場合は、
100g=100万円の時に500g売って500万円を得たものの、
100g=120万円で500gを買い戻したので、600万円支払い、差し引き100万円の損となります。
ただし、期日(8月20日)にはなっていないので、金500g自体の取引は起こりません。
単純に、小幡くんが相場観を変えて、微損撤退したワケです。
これを、差金決済を言います。
我々トレーダーは、この差金決済で起こるメリットを元に、先物市場に参加することになります。
それは、
・差金の受け払いだけで取引を終了できる→現物の受け渡しのことを考えなくていい。
・その商品を現実で持ってない一般の投資家の方でも取引に参加できる。
・受け渡ししないので商品の総代金を用意する必要がない。
・保有していない商品を「売る」ことが可能になる→いわゆる空売り。
これにより、実際に原油や小麦を大量に持っていない我々も、原油を売ったり、小麦を大量に買えるわけです。
先物は日本が先駆け
実は先物取引という商品ができたのは、日本が発祥です。
1620年代、大坂の堂島に淀屋米市場ができ、その約1世紀後、徳川吉宗により大岡越前が世界に先駆けて米の先物市場(帳合米取引という)を整備したのが成り立ちです。
米相場
年貢というものが米で支払われたように、日本は古来から経済の中心に「米」がありました。
ということは、米の取引量が尋常じゃないわけですね。
で、商人は気づくわけですね。
「これさ、俵でいちいち取引されるとさ、俺ら疲れね?」と。
↑1俵60kgだかんね?笑
ということで、彼らは「米手形」というものを作るわけです。
手形には「どこの米をいくらで交換できる」書かれているようです。
「どこ」っていうのは、各市場や、今でいう農協みたいな感じでしょう。
1つの町に1箇所あるよ みたいな。
ただ、当時はいかんせん移動手段が「足」。移動に時間がかかります。
なので、その手形には「今日中」とは書いておらず、「1月先まで有効」みたいな感じで書いてあるんでしょうね。
ただ、その間に米の相場は変動してしまうと。
で、その変動で損を出さないように、「つめかえし」という取引方法を生み出すわけです。
つめかえし
「つめかえし」は、ただの契約。
実際に米の現物のやり取りはせず、お金のみが動きます。
つめかえし契約の内容はこんな感じ。
「1月後、米1kgを今の相場で売ります。
と同時に、米1kgを1月後の相場で買い戻します」
ようわからんですね。
試しに取引してみましょう。
今日の相場:米1kg=1000円
1ヶ月後の相場:米1kg=500円
この相場で、つめかえし契約を現物取引と一緒にするわけです。
(現物取引っていうのは、つまり米手形ね)
今日米1kgを1000円で買ったとして、
一ヶ月後には500円になってしまい、500円の損失ですね。
では、つめかえしは?
先ほどの契約内容は、
「1月後、米1kgを今の相場(1000円)で売ります。
と同時に、米1kgを1月後の相場(500円)で買い戻します」
というものでした。
つまり、「1000円で売ったものを500円で買い戻す」という取引になり、500円の利益です。
これを先ほど現物で損した500円と相殺すると、損益は0円です。
こうやって、「現物取引で起こりうる損失を、ヘッジしましょう。」というのが、「つめかえし」です。
このつめかえしが、今の先物取引の原点です。
今でも、
「個別銘柄のロングを日経平均の先物を売ってヘッジする」ということが日常で行われているように、「ヘッジする」という概念から生まれたのが先物です。
ちなみに、当時の米相場で巨万の富を気づいた「本間宗久」という相場師がいましたが、彼が考案したのがみんな大好きローソク足です。
株式市場でよく使われる「酒田五法」も、本間宗久の出身地の山形県酒田から取られたものです。
WTI原油先物5月限
さて、先物という基本がわかったところで、先日の「原油先物マイナス価格」という現象を考えてみましょう。
原油
原油というのは、油田から採掘したそのままの石油のことで、ガソリンや軽油の元になるエネルギー資源のこと。
生産量トップ3は、
1位:アメリカ 1397.3万バレル/日
2位:サウジアラビア 1162.4万バレル/日
3位:ロシア1085.3万バレル/日
※1バレル=約159リットル
この世から原油が消え去ると、
まず、タイヤが作れないので人の移動が止まります。
エネルギーがないので船や飛行機も止まります。
食品の容器も作れないので、保存が聞きません。
ハウス栽培はできないので、1年中食料があるというのもありえません。
火力発電もできません。灯油がないので冬は寒いです。
でもダウンジャケットはありません。
経済が止まるのでみんな貧乏です。
このように、原油がなくなると地獄が待っています。
つまり、それだけ我々の生活には原油が深く関わり、とてつもなく大きな利権も関わり、産出国は世界において大きな存在感を持ちます。
石油王という言葉が生まれるのも納得です。
なのに!価格はマイナス!?
このように、1万バレルでも持てば大きな利益を生む原油ですが、みなさんご存知のように、5月限はマイナス価格になりました。
これは、投機面で我々が関わる人たちと、実需面で関わる企業たちが先物市場には入り乱れているからだと言えます。
コロナで世界中の都市が封鎖される中、人はまったく移動せず、原油は余っている状態。
つまり前提として、「買い手はいない」んです。
そんな中、5月限最終取引日がやってきます。それが4月21日。
この日中に持っている先物のポジションをどうにかしないと、明日には原油の現物がやってきます。
でも、来ても困りますよね。
タンクやタンカーなどを明日までに用意できるわけがないですし。
現物が来たとしても、一般の人は精製する技術がないですし。
ていうか、原油って元々は悪臭を放つ有害物質なんです。
仮に、安く仕入れて儲けようとしても、ご存知の通り今は原油の在庫が過剰で、WTI原油を受け渡すオクラホマ州のクッシングという場所の保管料は、1バレルあたり7ドル近くまで高騰しているそう。
つまり、たとえ今安く仕入れたとしても、在庫過剰=すぐに売れないので、保管料が大きくかかります。
コロナが収束して経済が復活し、2年後にやっと手元の原油に買い手がついたとしても、その時には1バレルいくらで売れば、保管料をペイできるのでしょう?
7ドル/月の保管料で、2年後ってことは保管料のコストだけで140ドル。
原油の過去最高値は2008年の140ドル。
ということは、過去最高値を更新してもほんの少ししか利益が出ないということになります。
そんなもの、誰が欲しがるの??笑
ということで、「追加でお金払うからどうにかして引き取ってくれ」という市場心理の末の、マイナス価格なのです。
これが、WTI原油5月限で起きたマイナス価格の正体です。
まとめ
ただし、マイナス価格がついたというのは、売買が成立したということ。
つまり、買った人がいたということ。
そりゃそうです。
仮に自分のタンカーがあったり、自分の貯蔵タンクがカラだったりしたらとんでもない金額をぼろ儲けできるわけですから。
歴史的に見ても貴重な出来事だったマイナス価格。
この特異な相場は僕らにとって貴重な経験をもたらしてくれますね^^
引き続き気合い入れていきましょう( ´Д`)y━・~~
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